Topics一覧へ Homeへ

「住宅性能表示制度の運用と今後の展開」

 

平成14年7月13日

住宅性能表示の利用状況

品確法施行から2年近くになり、平成14年4月までの性能表示の実績は、設計評価が7万7千戸、建設評価で1万7千戸あまりとなっている。この数字を多いとみるのか、少ないと見るのか微妙なところであるが、内訳としては、設計評価の8割及び建設評価の6割が共同住宅(マンション)の評価である。

しかし、最近はマンションも建設戸数が減少してきてたせいか建設評価実績も減ってきており、わずかながら戸建て住宅の建設評価比率が増えてきているようだが、全体としては頭打ちで設計評価総数で5千戸/月くらいで推移している。性能評価の申請が伸び悩んでいる原因としては、一般のユーザーへに認知度がまだ低い点が大きいだろうが、供給サイドの方でも積極的に取組むだけのメリットが感じられていないようだ。

評価にかかる費用(手続き費用、書類作成費用)や手間の問題もあろうが、性能評価の有無による住宅そのものの優位性、差別化の効果について、即応的に影響を及ぼすとは見られてないのが現状のようである。


誰が利用するのか?

利用者のプロフィールとしては、設計評価実績の属性から見て、一戸建てでは6割が施主個人であり、共同住宅の場合には、やはりマンションなどの建築主体である法人で94%となっている。建物の構造別属性では、一戸建ての場合半分以上(55%)がプレハブ住宅で、木造在来(41%)をかなり上回っていることから、やはり、工務店、ビルダーの方がまだ利用件数で大分少ないことが分かる。戸建て住宅の6割が工務店などの木造在来住宅で建設されていることから考えて、やはり、これら工務店での性能評価への取組みの遅れが伺える。

性能評価取得住宅のメリット・デメリット

昨年から、行政などでも性能評価の促進施策を進めるため、地震保険の保険料が性能評価の耐震等級にリンクして優遇されるよう金融庁へ働きかけ、最大で30%の割引がされるようになるなど優遇策が実施されたが、これをきっかけに他の保険や融資条件、民間の住宅ローン金利割引などが検討されはじめた。東京三菱銀行あたりはリテール事業への意欲が高く、早くから個人ローンへの対応も実施されている。

住宅金融公庫の場合、公庫自体の存続が難しい状況で、当面は各種の融資条件へ反映することが出来ないと見られ、今後は直接融資から融資保証主体へ移行するなかで、民間ローンの保証条件に含んだかたちで利用していくようになることが考えられる。

最終的には、新築時に評価を受けた住宅の検査履歴を有効に利用し、中古流通段階の査定審査に反映されていくことになると考えられているが、そのためには、現状の評価基準の他にも、市場原理に基づいた残存価値や利用価値の判定に寄与する判定要素と、民間金融機関の積極的な参加意識が必要となる。

住宅性能表示は普及するのか

住宅産業全体が収縮していく背景のなかで、性能評価制度が、そのままのかたちで普及をはかることが可能なのか少々疑問が残るが、一般のユーザーの関心が高まってくれば段階的に増えてくることは考えられる。しかし、現状の制度では性能評価住宅とそうでないものの市場での評価(価値)に直接的な影響を与えるというところまでは行ってないようで、もう少し明らかなプレミアムが付加されるようでないとこのまま立ち消えになってしまうこともあり得る。

ユーザー保護としての品確法の中に位置付けられた性能表示制度は、判定基準(技術基準)が住宅の性能の差異を明確にするということより、評価段階でのチェックや検査によって、それまで行われてきた確認申請上の単体規定である建物としての適合性を補完する役割を担わされているようにも思える。これまでの確認チェック及び検査では充分に機能していなかった検査内容を、性能評価制度を利用することによって、自らの自主性の範囲で住宅品質を上げさせるという仕組みを作ることで、欠陥住宅に対する行政の役割である指導・検査義務を補うことが可能になったと考えられる。

それにしても、申請手続きや資料作成の負担、設計・建設評価の2段階評価など、申請者にとって結構面倒で費用がかかるという感想が多く聞かれるなか、性能評価住宅に対する市場性が高くなることとリンクさせた基準や評価システムの見直しが必要な時期にきているかもしれない。

Topics一覧へ Homeへ